意外と知られていない、第一次世界大戦からの戦争の歴史を、今に伝える博物館
帝国戦争博物館は、第一次世界大戦中の1917年に設立が内閣で提唱され、1920年にジョージ5世によって、クリスタル・パレスに正式に開館した博物館です。
イギリスとイギリス連邦が関わってきた戦争や紛争に関するありとあらゆる資料を集めること。そして、それらの個人や社会の記録を後世に残すと言うことを主な目的として、運営されています。
また、そういった目的に加えて帝国戦争博物館は、国立のアートギャラリー、文書や音声・映像記録を集めたナショナル・アーカイブ、そしてそれらを用いた研究を行う研究施設としての側面も持っています。
帝国戦争博物館へのアクセスと開館時間・入館料など
住所:IWM London Lambeth Road London SE1 6HZ
最寄りの地下鉄駅:Lambeth North(徒歩5分), Elephant Castle(徒歩8分)
開館時間:10:00~17:00/月~土 クリスマスとイースターの時期は閉館
入館料:無料
公式ホームページ:https://www.iwm.org.uk
補足情報
Imperial War Museum (IWM)はこの場所だけでなく、ロンドンに3か所、地方に2か所あります。
ここでご紹介する Imperial War Museum London, Churchill War Rooms, HMS Belfast はロンドンにあり、Imperial War Museum North がマンチェスター, Imperial War Museum Duxford がダックスフォードと言う都市にあり、それらの総称を Imperial War Museums と言います。
ちなみにこの5つの博物館のうち、ロンドンとマンチェスターの帝国軍事博物館のみが、入館料無料です。
帝国戦争博物館の個人的な印象と見どころ
帝国戦争博物館のコンセプトの一つに、
「近代における戦争のすべての側面と、いかなる立場や社会に属する人の、一人一人の経験を記録する。」
と言うものがあるのですが、その言葉の通り、戦争や紛争を、いろんな角度から見ることができるような展示物が多いと思いました。物事を多面的に見るって需要だな~と改めて実感。
数ある展示テーマの中で、私が最も気になったテーマは、「一般の人が戦時中にどのような生活を送っていたか」と言うことに焦点をあてたもの。
これについては、「気になった展示物」で後ほど詳しくご紹介します。
また、帝国博物館の中央には、実物の飛行機が何機も展示されていて、これが見ごたえがあるんです!
航空機の底を間近で見たのって、これが初めてかも!
スタッフの方によるとゼロ戦もあるらしいのですが、どれか分かりませんでした・・・。
帝国戦争博物館で気になった展示物
色々なテーマの展示物があったのですが、一番印象に残ったのは、↑こちらの「A family in wartime」です。
このコーナーでは、戦時中南ロンドンで生活していたある家族の暮らしを通して、戦時中の人々の生活がどのようなものだったかを、詳しく解説しています。
戦時中は配給制度によって好きに洋服や物を買えなかったため、女性は家族の服を繕ったりする必要がありました。
この展示からは、いかに資源を無駄にせず補修するかが、とても重要だったことがうかがえます。
MAKE-DO AND MEND は、それを象徴する、当時のスローガンでした。
これ、質問が壁に書いてあって、四角いガラス窓をのぞき込むと答えが分かる仕組みになっています。
例えば、戦時中のバースデーケーキはどのようなものだったと思いますか?と言う質問があって、中を覗き込んでみると・・・
イギリスのケーキによくみられる「アイシング」と言う砂糖で表面がコーティングされたものは、当時は禁止されていたそうです。砂糖は貴重品だったから。
これが誕生日ケーキだなんて・・・今の時代では考えられない!
他にも、「Sunday Roast は今と同じような内容だったか。」とか、「当時は好きなだけ紅茶を飲んでもよかったか。」など、当時の人々の生活がどのようなものだったかを垣間見れるような面白い質問がありますので、この展示は必見です!
これは反対側に飾られていた絵の一部ですが、このブランドの砂糖、今でも売られていますよね。パッケージは違うけど。
ベーコンの下には「レーションブック」と言う配給のためのクーポンが付属した冊子が見えます。
ちなみにお土産ショップでは、レーション・ブックの形をしたノートなどのユニークな商品を販売しているので、そちらもぜひチェックしてみてくださいね!
別のコーナーで展示物を見てたらスタッフの人が声をかけてくださって、ミニガイドツアーをしてくれました。
色々お話ししてくださったのですが、例えば写真のスカーフは、女性が工場で働くとき髪が邪魔にならないように結ぶためにも使われたそうなのですが、プロパガンダになるような絵柄が書かれています。真ん中のスカーフの人物は、チャーチルです。
ガスマスクもあって、(子供用にペイントしたミッキーマウスのガスマスクと呼ばれていた?とか言ってた気が。この辺あいまいですw)第二次世界大戦では実際には使われなかったけど、ドイツからの毒ガス攻撃の恐怖があったため、市民用のガスマスクも存在したそうです。
そしてこれ、なんだか分かりますか?
ベッドだそうです・・・。寝ているときに空襲などで家が破壊されても、身を守ることができるようにとのことらしい。テーブルとしても使われていたそうです。
いや~、こんな中で寝なくてはいけないなんて・・・ちょっと想像ができません。
この博物館ではもちろん、当時使われた武器や戦闘機などについても紹介されているのですが、個人的な興味は、やはり大多数の人々の生活がどのようなものだったかについてが大きかったです。
戦時中でも、日常生活は続くんですよね。たとえ戦争によって以前の生活様式とはガラッと変わってしまったとしても、生きていかなくちゃならない。
私は今の時代からこうして当時について学ぶことができる立場にいますが、当事者だったらこんな生活絶対ヤダ!と思いました。それと同時に、今の自分がいかに幸せな日々を送ることが出来ているかーありきたりかもしれませんがこれが、博物館を見学して感じた、一番素直で率直な気持ちです。
帝国戦争博物館の見学のポイントまとめ
- 戦闘や軍隊に関するものだけではなく、戦時中の一般の人々の暮らしを学ぶことができる
- 戦争に関するちょっと変わったお土産グッズ